手振れが起こらないようにシャッタースピードにも気を付けて撮影すれば明るさが足らず、ISO感度が異常なまでに高くなり、高ノイズの写真になったり、F値・シャッタースピード・ISO感度はそれぞれ完璧に設定したにもかかわらず暗い写真になってしまったりしたことがある場合は、外付けのストロボ、クリップオンストロボを使用すれば、すべて解決します。
ストロボの使い方はいたってシンプルで、「足りない光を補い、足す」だけです。
設定方法も光の強さなどを決めるだけなので初心者でも簡単に使用できます。
ストロボの光らせ方には2種類あり、ストロボが自分で周囲の光量を判断し、適切な強さで光を当ててくれるTTL機能を使用した発光と、自分で光の強さや照らす範囲を決めて発光させるマニュアル発光の2通りです。
TTL機能があるストロボは比較的高価になってしまいますので、今回は物撮りでのマニュアル発光の設定方法をご紹介します。
使用する機材
メーカー公式のストロボは決して安価なものではありませんので、今回は初心者でも購入しやすい中国製のメーカーYONGNUO のYN560 III Speedlight というマニュアルストロボを使用していきます。
ストロボの使い方・設定
ストロボの設定については自分がどれぐらいの光の量を補いたいかによるのでその光量とどのアングルから光を当てるかによります。
この1/1・1/2・1/4・1/8・1/16・1/32・1/64・1/128が光量の指数となり、1/1が最高出力、フル発光と呼ばれ、1/128が最小出力となります。
ストロボ撮影の仕方
被写界深度は浅くするのか、深くするのか。
そして、手持ち撮影であればシャッタースピードの限界は何秒なのか。
ただしこの時シャッタースピードは1/250を超えないようにしておきます。
ISO感度は100で大丈夫です。残りの明るさはストロボで補います。
そしてストロボの光量を1/32ぐらいに設定し、1枚撮影してみます。
そこで明るければストロボの光量を落とし、暗ければ上げるという作業をしていきます。
最終的に丁度良い明るさになったらOKです。
ただし、これで終わりではありません。
ちなみにストロボを使用しなければ下記のようになってしまいます。
影の質を知る
ストロボの光を当てることにより、被写体へは当然影ができますが、この影の質感は
光の当て方により様々な変化をします。どの当て方をすればどのような影の質になるのか見ていきましょう。
ストロボ直あてで撮影する
また立体感もなく、影となった箇所は真っ暗になってしまう為、いかにも素人が撮影したような写真になってしまいます。
被写体ばかりに光が当たり、周囲を全体的に明るくすることは出来ません。
内蔵ストロボを使用すると同じような現象がおきます。
天井バウンスで撮影する
ストロボを天井に向けて発光することで、天井から光が反射して部屋全体を明るくすることができます。
天井バウンスの場合はストロボの照射角度により、被写体に柔らかな影をつくることも可能です。
しかし欠点としては、天井のある部屋で、かつ天井が白色系の光を反射する色でなければならないこと。
そして被写体に光が届くまでが距離がでるのでその分光量が落ちてしまうので出力をあげる必要があります。
ディフューザーを使用する
天井バウンスが使用できない場合はディフューザーと呼ばれるアクセサリーを使用して
対応します。
ストロボの前に装着することで光を拡散させる効果があり、それにより天井バウンスに近い光の質で被写体に光を当てることができます。
最近では天井バウンス機能とディフューザーが1つになったものがあるのでそちらがあれば非常に便利です。
星景と人物を同時に撮影する(スローシンクロによる星空ポートレート)
ストロボの光の効果は光を補うだけではなく、被写体の動きを止めることもできます。
強い光を一瞬当てることで、その反射した光がカメラのセンサーに届き、被写体の動きを止めることができます。
これを利用したのがスローシンクロによる星空ポートレートです。
星空を撮影するので、シャッタースピードは20秒から30秒になりますが、そこに人を入れる場合、30秒もの間じっとしていなくては、写真に写る人はブレてしまいます。
しかし30秒じっとしておくのは非常に難しいので、その場合は、シャッターが閉じる直にストロボで光を当てることにより、その被写体の動きを止めます。
これをスローシンクロといいます。
撮影方法ですが、まずはストロボと被写体は無視して星空を綺麗に撮影できるようカメラの設定をしていきます。
この時は通常の星を撮る時と全く同じように設定します。
実際に撮影してみて、綺麗に星空が撮影できていれば大丈夫です。
それから実際に人に入ってもらい被写体にピントを合わせなおして撮影するだけです。
この時のストロボの光量はその環境にもよりますが、被写体を照らすぐらいですので1/32や1/64ぐらいでも十分だと思います。
その都度変更して微調整してください。
そして必ずディフューザーを装着します。
またこの時カメラのストロボ設定をスローシンクロに変更しておきます。
あとは極力被写体に動かないように伝え、シャッターを切るだけです。
うまくいけば、綺麗な夜空と適切な明るさの被写体とがマッチした星空ポートレートが完成します。
まとめ
クリップオンストロボと聞くと初心者では手をだしづらいイメージですが、足りない光を補う役目がメインですので、1本持っておくだけでも様々な撮影シーンに利用できます。
ストロボライティングにはクロスライティングなどこの他にも様々な使用方法がありますので、ストロボを使用して撮影の幅を広げてみてはいかがでしょうか。